はじめに
2017年12月27日に、キングコング西野亮廣さんが「レターポット(α版)」という新サービスを始めました。
SNSなどでは新通貨「L」として企画段階から話題になっていましたね。
レターポットを始めた人は周りから見ると熱心な西野信者に見えるらしく、Twitterでは宗教だーとの声も目にします。それが理由で行動に移せない人も一定数いるようですが……
周りの目を気にしすぎです。
確かに「西野さんスゴーイ」的な発言が目立つ普通の西野さんファンが増えている気がします。
それは、西野さんが世間一般の人より凄いことは最近の実績からも明らかなので、人気に比例してファンやアンチを見かけることが多くなっただけだと思います。
▼参考までに最近の西野さんの実績
・作品が1000万円で売れた。出典:サンスポ
・日本で一番クラウドファンディングで支援を貰っている(合計支援額は1億円を突破)出典:まんたんウェブ
・実際に5000部売れれば大ヒットの絵本業界で「えんとつ町のプペル」は30万部突破 出典:メガヒットの作り方
・2017年10月に発売したビジネス書「革命のファンファーレ」は発売開始から2ヶ月程で13万部突破 出典:LINEBLOG 元オフィシャルブログ
そして今回のレターポットの発表。注目している人が多いのも頷けます。
レターポットの内容を知らない方も少し気になってきたのではないでしょうか。
今回は文字に体温を乗せるという「レターポット」について仕組みをざっくり説明していきます。
レターポットとは
レターポットの基本精神
レターポットの基本精神は、見返りを求めるGive and Takeではなく、無償で他者に貢献する”恩送り”(Pay it forward)で成り立つ”言葉で回る経済圏”を作りたい。というのが始まりです。
”恩返し”は受けた恩を相手に返すことですが、恩を相手に返すのではなく、他の誰かに渡していくのが”恩送り”です。Pay it forward(善意を他人へ回す)の考えは2000年に映画(邦題:ペイ・フォワード)にもなっており、ねずみ算式に恩送りが増えていく様子が描かれております。
Wikiでは「情けは人のためならず」など古くから日本人に定着している表現もあり、”誰かから受けた恩(慈しみ)を他の人へ送る”ことは大昔からある考えみたいですね。
先日ニュースになりました成人式の事件に対して、西野さんがブログで”リベンジ成人式”を開催すると発表しました。
その成人式にかかる費用は”全てレターポットの売上から捻出する”という、恩送りを実践する非常にカッコイイ形態となっております。
レターポットの仕組み
簡単に説明しますと有料の文字「レター」を買って、言葉を贈るサービスです。(100レター税込み540円)
”有料の文字”が価値のベースになっており、無料のSNSではなくあえてレターポットで「いつもありがとう」と時間と手間を掛けた付加価値のある言葉を贈ることで感謝の度合いが表現可能になります。
その人に寄せられるレターの総数で、その人の信用度がわかる「信用持ち」が生きやすい世界の実現を目指しているようです。
参照:CAMPFIRE:キンコン西野の新サービス『レターポット』の開発費用を集めたい
他にも年賀状や誕生日などのお祝いメッセージに使われたり、さきほどの「はれのひ事件」の際には”レターを贈ることが支援につながる”など様々な使用法があります。
レターポットの使い方
Facebookアカウントがあれば登録可能です。
レターポットは1文字5円で購入したレターを使って、手紙(レター)を贈ることが出来ます。
レターを贈る際に別途便箋代がかかります。(これがLetterPotの運営費になります)
Facebookアカウントの友達で、LetterPotをやっている人を確認して贈ることが出来ます。
※最初に新通貨とありましたが、既存の通貨とは異なり現時点では「レター」でものを買うことは出来ません。
※今後できるようになるかもしれませんが、物々交換では恩送りとは少し違う使われ方になってしまいますね。
とりあえず登録して一度使ってみたほうがわかりやすいです。
西野さんのブログでの解説
これらに目を通しておけば一通りの使い方がわかると思います。
レターポット補足説明
レターポットについていろいろ補足説明します。
換金機能はつけないの?
「換金できないのになんの意味があるのか」
そう考えるのは、あなたが「価値のあるものに変換しなければ意味がない」という固定概念に囚われている証拠です。
レターポットは、物々交換、等価交換が当たり前の世界ではなく、見返りを求めない親切で回る”Pay it forward”の世界を目指しているので、そもそもイメージしている世界感が違うのです。
日本銀行が発券したお金に皆が”価値がある”と信じているからこそお金に価値が生まれました。
レターポットも普及すればするほど、レターポット自体の信用度が増えます。
その結果、レターポットの通貨「レター」で支払いOKなお店が出てきたり、仕事などの頼まれごとのお礼の支払いがレターでOKということになってきます。
先述の”言葉で回る経済圏”を実現させるためには、レターポットと恩送りの概念の説明が必要になってきます。
また、恩送りそのものとも言える”恩で回る経済”こそが今後人類が目指すべき次の世界なのではないかと思います。
面白いお話があります。2003年にオハイオ州出身のデロン・ビールという男が”いらない処分品”と”それを欲しい人”を結ぶ「フリーサイクル」というフリマサイトを作りました。しかし典型的なサイトと異なり、基本原則に「売買・交換不可」という、品物はすべて無償で提供しなければいけない原則を設けました。
そしてこのサイトは驚異的な速度で成長を遂げ、2年たたずに全世界で会員数100万人に達しました。
この仕組みは、まさに恩送りを実行するためにあるようなサービスで、与えるよりもより受け取ることを優先することが多い利己的な会員でさえ、受け取った品物の2.5倍を提供しました。
これらの詳細については下記のアダム・グラント著の「GIVE&TAKE」に詳しく書かれております。
[amazonjs asin="4837957463" locale="JP" title="GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)"]
「換金できないのになんの意味があるのか」という質問は、そもそもレターポットは換金する必要がない恩送りの世界を目指しているので、根本のイメージする世界観が異なっている時に出る質問だと思います。
余計な贈り物を送ってしまうのは仕方ないのかも
レターポット開発に至った経緯ではじめは「本人が必要としない的はずれな贈り物を無くす」ことがベースにあったと思うが、人は基本的に相手が欲しいものを公表していても、「この方が良いはずだ」と(結婚式の引出物のような)贈り物を独自に考えて送ってしまうそうです。
ハーバード大学のフランチェスカ・ジーノとスタンフォード大学のフランク・フリンの実験では、贈り物を贈る側は相手の欲しいものを送らず独自の贈り物をする方が良いと考えたのに対し、受け取る側は独自の贈り物よりウィッシュリスト(欲しいものリスト)の贈り物を貰ったほうがはるかに嬉しいと考えていることがわかった。
「差し入れはいらない」と何度いっても、人が良かれと思って余計な差し入れをしてしまうのは無くならないということですね。
差し入れはレターポットでのみ受け付けるという西野さんの提案は望まない差し入れを無くすとても良い方法だと思います。
倫理的満足感(ヘルパーズ・ハイ)で幸福度UP
心理学者のエリザベス・ダン、ラーラ・アクニン、マイケル・ノートンの幸福度調査では、被験者は自分のためにお金を使っても幸福度は変わらなかったが、他の人のために使った人は幸福度がかなり上がった。最近の神経科学では、与えることによって脳の報酬中枢が活性化することがわかっており、人の利益のために行動すると、そこから喜びや目的意識などの信号が伝達されるのだという。これを経済の専門家は「倫理的満足感」と呼び、心理学者は「ヘルパーズ・ハイ」と呼びます。
経済の専門家であるアーサー・ブルックスの収入と寄付金の調査では、寄付する額が増えるにつれて収入も高くなっていたことがわかった。
出典:アダム・グラント著「GIVE&TAKE」
つまり実験の結果、人は与えることで幸せを感じ、お金持ちになれるということがわかりました。
レターポットに限らず身近な人への恩送りをどんどんすることで人生の満足度も上がります。
レターポット普及のために
レターポットは参加する人数が増えるほどレターの信用度が上がり、”言葉で回る経済圏”に近づきます。
レターポットに参加していない層へ普及させるには何をすれば良いのでしょうか。
自ら進んで恩送りするような親切な人達は日頃から他者貢献をしているので、実際に日常生活でも恩が回って返ってきているはずです。
クラウドファンディングやレターポットのような信用の可視化装置ではより効率よく恩送りのサイクルが回せるようになりますので、ぜひ身の回りの親切な方達へレターポットを勧めてみてください。
また、見返りを求めるGive and Take的考え(行動指針に損得勘定がある人)へは、どのようにしてレターポット(恩送り)の魅力に気が付かせるかだとおもいます。
そのような強欲だったり利己的な承認欲求の高い方は、「他人に自分は善人だと知らせる方法」が機能的に組み込まれていると参加数が増えるそうです。
「メッセージ送ったから見て欲しい”既読機能”」や「支援したアピールの”SNS拡散機能”」などの機能の充実が承認欲求を満たす助けになると思います。
利己的思想の人はメリットがなければ動きません。ただ他者貢献の素晴らしさを説く以外に、事実的なメリットをアピールすることで(打算的ではありますが)恩送りのサイクルに参加するのではないでしょうか。
さいごに、レターポットで少し気になる点が……(気を悪くする方が多いと思うので、閲覧注意です。レターポットの気になるところについて言及してます)
レターポットの仕組みや目指す世界は素晴らしいですし、使用する人たちも恩送りを実践する素晴らしい人ばかりです。(恩送りをやろうとも思わない人はそもそもレターポットを使おうとしないデザインになっているので)
さて、現在FacebookやTwitterで「レターが無いけど使いたいからレター欲しい!」とつぶやいたら、あしながおじさんからレターが貰えます。
あしながおじさんは善意でレターを配っているので良いのですが、”自分でお金を出したくないけど新しいサービスだからやってみたいから”「レター無いから頂戴!」と言っている人が一定数いる気がします。そんなクレクレ君達を見ていて気持ち悪くなり、レターポットを辞めてしまった方もいるみたいです。”ありがとう”などの感謝や支援の言葉はとても文字が暖かく感じるのですが、ただレターを貰うだけの人はなんだかみていて体温を感じませんね。(もちろん殆どの方は例外です。単にずるい人がいる気がするって話です)
「感謝を伝えたいけどレターが足りない。レターください!」→感謝を伝えたいなら自分でレターを用意しろって話です。実際お金を使いたくないだけですよね。お金がなくて感謝を伝えたいなら電話でもメールでもLINEでも伝えればいいのに。単にレターポット使いたいだけならそう言えばいいのに。
レターポットの良さは文字に体温(付加価値)がつくところです。メッセージに込められた価値が高まるから貰った時嬉しいんです。レターの付加価値とはなんでしょうか。「文字入力にかける時間」は普通のメールでも出来ますので違います。「レターが4ヶ月で腐る使用期限のある文字」だから使用サイクルが加速するのですが、それはレターの価値が失われるのを恐れての使用です。現段階の”レターの価値”とは、一文字5円という”お金を出してまでレターを書いてくれた”ことがレターの価値です。最終的にはレターは信用のある人に集まるデザインですが、現段階では「欲しい」と手を上げた赤の他人に無限にどんどん配られているので、本来の価値を失っていると思うのです。(レターを渡すあしながおじさんの信用はどんどん上がりますが)
しかし今はレターポットのサービスが始まって一番加速するべき時期。レターポットを使用して賑やかしていただけるなら、どんどん無料でもレターを回してサービスを利用してもらうのが、レターポット発展のためには一番の貢献となっているのも事実です。
こう考えてしまうのは僕の心が狭いからなのか……
一度書いていたブログ記事が消えたので、ところどころ文章がおかしかったらすみません。
書き直す気力がわかないので、これで終わりです。
観て欲しいおすすめの番組
最後に西野さんの芸人魂を感じられる面白番組を紹介します。何度観直しても爆笑してます。
▼ゴッドタン 2018/1/13放送分 キンコン西野VS劇団ひとり完全決着SP
ゴッドタン面白すぎる…… 今3週目w
— Takahiro@相互フォロー歓迎 📫 (@abolt_hunter) 2018年1月18日
キンコン西野VS劇団ひとり完全決着SP 1/21まで視聴可能 #TVer #ゴッドタン
https://t.co/xVOXdZoJlC
1/21のAM2時まで観ることができます。